フリーランス法施行から1年──「発注する側」に求められる誠実さ

フリーランスイメージ

2025年11月1日で「フリーランス法」(正式名称:フリーランス・事業者間取引適正化等法)が施行から1年を迎えました。
トラブル防止のために「取引条件の明示」を義務づけたこの法律は、企業と個人の間に健全な関係を築くためのルールとして注目されています。

しかし、公正取引委員会によると、この1年間で指導・勧告は445件にのぼり、違反の大半は「取引条件の明示義務違反」と「報酬の支払い遅延」でした。
出版・放送・ゲーム・アニメ業界など、クリエイティブ分野での違反が目立ち、構造的な課題が浮き彫りになっています。

「働く人」から「共に創るパートナー」へ

中目黒コンサルティングでは、製造業や士業、スタートアップなど多様な企業と関わる中で、「副業」「業務委託」「プロ人材」という形で活躍する人材が急増していることを実感しています。
一方で、現場では依然として「契約書がない」「報酬があいまい」「修正対応が無償」など、旧来型の慣習が残るケースも見受けられます。

法の主眼は「フリーランスを守る」だけではありません。
むしろ、発注する側の企業が“信頼を積み上げるための基盤を整える”ことにあります。
これは、法令遵守の問題であると同時に、企業ブランドの信用を守る取り組みでもあります。

副業・フリーランス活用の本質は「共創」

私自身、副業を通じて15社の企業と並走してきましたが、長期的に成果が出る企業ほど「契約内容を明確にし、伴走する文化」を持っています。
契約が信頼を築き、信頼が成果を生む──。この循環を意識できるかどうかが、今後の企業競争力を左右するでしょう。

フリーランス法は、単なる規制ではなく、“共創のルールブック”です。
取引条件の明示、報酬の適正化、ハラスメント防止などを整えることは、優秀な外部人材を惹きつける第一歩だと思います。

企業が取るべき3つの実践

  1. 契約プロセスの標準化
     テンプレートを整備し、取引条件を明確に提示する文化を定着させる。
     (AIを活用した契約文書チェックも有効)
  2. 外部人材とのリレーション構築
     単なる外注ではなく、プロジェクト型の共創関係へ。
     定例会や成果共有の仕組みを設けることで継続率が高まる。
  3. 社内教育の強化
     担当者レベルでの理解を深めることが最重要。
     「依頼する力」を育てることで、発注品質が向上し、結果として業務効率も上がる。

終わりに──「法を守る」から「信頼を育てる」へ

フリーランス法の真の目的は、“働き方の多様化”を阻む壁を取り除くことです。
中小企業にとっては、外部人材を「活用する」だけでなく、「ともに育てる」姿勢が求められます。
その第一歩が、法を遵守し、透明で誠実な取引を行うこと。

法令対応の先にあるのは、企業の信頼資産づくりです。
地方企業の未来は、「人との約束」を大切にできる企業から拓かれていく──。
当社は、これからもそんな企業の伴走者であり続けたいと考えています。

※本コラムは、公正取引委員会発表資料および報道内容をもとに再構成しています。

この記事を書いた人

nakame-consulting