ビジネスの複雑性や変化の早い環境において、経営者が持続的な成長を実現するためには、システム全体を俯瞰して最適な打ち手を講じることが求められます。そのために、システム思考は欠かせないフレームワークとなります。
今回は、レゴ®シリアスプレイ®を用いたシステム思考のビジュアル化を通じて、経営における効果的な意思決定をどのように支援できるかを考察します。
システム思考の意義
システム思考は、ビジネスの問題を単一の要因で捉えるのではなく、複数の要因がどのように相互作用しているかを理解するアプローチです。例えば、営業活動の量を増やしても、売上が伸びない場合には、背後にマーケティングの質や顧客ニーズの変化が関係している可能性があります。このような複雑な要素の関連性を見極めるために、システム全体を俯瞰する視点が必要です。
レゴシリアスプレイの活用
レゴシリアスプレイは、システム思考を可視化するための強力なツールです。
経営者やチームがレゴブロックを使って、ビジネスモデルや課題の因果関係を「見える形」にすることで、システム全体の相互作用を理解しやすくなります。この手法を用いることで、KPI（重要業績評価指標）だけでは捉えきれないビジネスの構造やチームの関係性を明確にすることが可能です。
レバレッジポイントの発見
システム思考において、最も効果的な介入点を「レバレッジポイント」と呼びます。これは少ない努力で大きな成果を得られる箇所で、経営者にとって重要な発見です。レゴシリアスプレイを通じて、例えば外部要因と自社ビジネスの関係など、ビジネスの重要な要素を視覚化することで、どこにリソースを集中させるべきかが明確になります。BCPの面からも重要です。
フィードバックループの理解
システム思考では、フィードバックループの管理も重要です。フィードバックループは、一つの行動が他の要素に影響を与え、その結果が再び元の行動にフィードバックされる循環的なプロセスです。レゴシリアスプレイを活用することで、チームはこのフィードバックループの動きを視覚的に理解し、ビジネスの成長を促すための具体的な改善策を見つけやすくなります。
KPIの再評価とシステム全体の把握
KPIを達成するだけでなく、その背後にあるシステム全体を理解することが、持続可能な成長には不可欠です。
レゴを使った視覚化により、現在のKPIや戦略の前提となっているメンタルモデルを再評価することで、どの要素が成果に最も大きな影響を与えているかをより正確に把握できます。
コラボレーションとコミュニケーションの強化
レゴシリアスプレイは、チーム全員が自分の意見や考えをビジュアルで共有するため、共通の理解が深まり、効果的なコミュニケーションを促進します。これにより、経営者がシステム全体を俯瞰しながら、チーム全体で協力して問題解決に取り組むことができます。
結論
レゴシリアスプレイとシステム思考を組み合わせることで、経営者はビジネスの複雑な相互作用を理解し、持続的な成長を促進するための最適な打ち手を講じることが可能になります。
レバレッジポイントの発見やフィードバックループの管理を通じて、経営の意思決定はより精度の高いものとなり、システム全体の連携を強化することができます。
参考図書：
＊「世界はシステムで動く――いま起きていることの本質をつかむ考え方」は、ドネラ・H・メドウズによるシステム思考の入門書です。この本では、システム思考を通じて、世界の複雑な出来事や問題を俯瞰的に理解し、効果的に変化を起こす方法を解説しています。
システム思考は、物事を単一の要因だけでなく、相互に関連したシステムとして捉える考え方で、社会問題や自然のシステムをより深く理解するためのアプローチです。著者は、具体的な事例を通じて、部分的な解決策がかえって新たな問題を生むことがあることを指摘し、全体的な視点で問題に対処する必要性を強調しています。
この本を読むことで、日常生活や社会の変化に対してより賢明に対応でき、長期的な改善を目指す視点を養うことができます。
